ANAの運航管理業務から
生まれたアイデア
ANAホールディング株式会社 デジタル・デザイン・ラボ兼宇宙事業化プロジェクトメンバー 松本紋子氏(以下、松本氏):私がANAで担当していた運航支援・管理業務は、天候など安全な運航を確保するための情報や、最も燃費が良くなる最適な飛行経路や高度をパイロットに提案する仕事です。業務の中で、燃料量が高度やルートによって大きく変わること、実際の使用量と予測されていたデータの値に差があることに気づきました。
また、前部署では、日米間のルートを飛ぶパイロットのマニュアル作成管理や、新たな運航方式の導入調整などを担当していました。日本の航空局とアメリカ連邦航空局と調整し、新しい燃料削減の運航方式の路線を拡充するなど、弊社としてトライアル参加してみました。しかし、運用手順などが煩雑だったため、パイロットに深く浸透するには至りませんでした。
そんな時、S-Boosterの公募を知りました。宇宙からのデータで燃料を削減することが可能ではないかと思いつき、「超低高度衛星搭載ドップラーライダーによる飛行経路・高度最適化システム構築」というテーマで応募しました。まだ試算段階(※)ですが、もし実現すれば、燃料量削減により3200億円の経済効果と1200万トンの二酸化炭素排出量削減が見込めます。より簡単に燃料削減をする方法がないか。これは2015年頃からずっと考えていたテーマなので、実現させたいです。
※風の予測精度が秒速1メートル向上し、それが世界中の航空機に適用される事を想定