「命の尊さ」という共通のテーマ
J-SPARCプロデューサー・菊池優太(以下、菊池):JAXAは2018年5月、民間企業と新たな事業を共創をするための研究開発プログラムとして、J-SPARCをスタートさせました。その中でも「衣食住」は、新たな領域として着目していたカテゴリーでした。
2019年は、自らお金を払って宇宙に行く人が出てくる本格的な「宇宙旅行元年」と言われています。宇宙飛行士が宇宙で生活するために開発された宇宙食のあり方が、宇宙旅行用となるとニーズもきっと変わってくるはずです。
今年はちょうど、アポロ11号の月面着陸からから50年という節目の年でもあります。世界の意識が月と火星へと再び向き始めているタイミングで衣食住分野のパートナー企業を探していた私に、広告代理店出向時代の同僚が紹介してくれたのが島田社長でした。
ワンテーブル代表取締役社長島田昌幸氏(以下、島田氏):出会いはそうでしたね。僕たちの会社は、東日本大震災で被災しました。震災から学んだことは、命の尊さ。命は平等で、公平で、誰もが向き合っていかなきゃいけない。そのことを、感じさせられました。
そんな折、「宇宙への挑戦は、生命の原点を探すためでもある」という考えを知りました。これは「命の尊さ」ともつながります。同じテーマを持つ両者が出会い、「BOSAI SPACE FOOD PROJECT」がスタートすることとなりました。
菊池:宇宙開発は、突き詰めれば「命や地球の起源の探求」にたどり着きます。他方、新たなフロンティアを目指すことは、2度のスペースシャトル事故の歴史に代表されるように危険を伴うものであるため、徹底的に安全性・信頼性を追い求めます。「命の尊さ」というテーマは、実は宇宙開発を担う私たちが社会に対して語っていくべきこと、語っていかねばならないことの一つとも言えるのです。