3つの視点からのチームづくり
――眞鍋さんの株式会社SPACE WALKERにおける役割、ジョインのきっかけについて教えてください。
眞鍋氏:会計事務所の経営者という強みを生かし、事業計画と資本計画を作っています。単に「ロケットを打ち上げたいから」という理由だけでは資金調達は難しいので、ビジョンとマネタイズしていくストーリーが必要です。
設立前、実験機「WIRES #015」を見に九州工業大へ足を運びました。この実験機に、JAXAや重工各社がエンジニアリングの中心に入ってチームとなっていることも分かり、「実現できるかもしれない」と思った。それが参画へのきっかけとなりました。
会社設立後、私が1年かけて取り組んだのは、社内のチームビルディングです。重工各社と業務提携するためには、「エンジニアリング・マーケティング・マネージメント」の3つの視点からのチームづくりが必要です。
重工各社との提携は、2018年8月1日の記者会見で、日本初の有人宇宙飛行を目指すためのロードマップとともに発表しました。しっかりとしたチームの存在を知ってもらい、エンジェル投資家から投資を集めることが、1年目の目標でした。
――チームビルディングにおいて苦労した点はありますか。
眞鍋氏:集まったメンバーのバックグラウンドがあまりに多様で、その部分は苦労しましたね。共通言語がないため、小さな問題が時々発生してしまうわけです。そうした問題は、コミュニケーションでカバーするしかありません。私も宇宙への知識が十分にあったわけではありませんので、しばらくの間は、その道のプロに対して素人的な質問を繰り返しぶつけて、説明してもらっていました。
また四半期に1回程度は経営合宿も企画し、事業計画や資本計画、開発スケジュールなどを決めています。あえて温泉という非日常空間に行くのですが、「温泉は1時間以内に出る」というルールで、ストイックに学び合っています(笑)。