JAXA
Sessionsセッション紹介

小型SAR衛星の今後の進化

齋藤宏文
早稲田大学、宇宙科学研究所名誉教授
開発移行可能

概要

本研究グループは小型衛星用合成開口レーダ(SAR)システムをJAXA宇宙研で開発してきた。その技術は2021年2月に軌道上実証された。現在早稲田、東工大、宇宙研チームは競争敵資金を以って、小型SAR衛星の今後の進化として次のテーマの開発を行っている。i)量産化に適した製造安定性の優れたCFRP製SARアンテナ、ii)送信電力の増強(SSPA3kW以上)、iii)観測幅の広い商用SAR観測と高い地上分解能(目標0.25m)を持つ安全保障用SARの両用(Dual Use)、iii)フォーメーションフライトによる1衛星送信、多衛星受信によるMultistatic SAR観測。

本ミッションの狙い

i)SARコンステレーションによる高頻度のSAR観測による新規ビジネスの創成, ii)商用SAR観測と安全保障用SARの両用(Dual Use), iii)Multistatic SAR観測による地表識別能力の向上、1パスによるdigital elevation mapの取得

実現のキーとなる要素技術

CFRP製SAR用展開型スロットアレーアンテナ、大電力マイクロ波送信機、高安定周波数基準発振器、精密フォーメーションフライト技術

衛星のスペック

衛星重量100kg, 0.7mx0.7mx0.7m,
SARアンテナ展開後 5mx0.7m,発生電力600W(アンテナ裏面に太陽電池シート)ゼロモーメンタム3軸制御、データダウンリンク速度、最大2.6Gbps/2偏波

衛星のイメージ図

内閣府資金で開発した小型SAR衛星と展開アンテナ(5mx0.7m)

ミッションのイメージ図

小型SARのFormation FlightによるMultistatic SAR

開発状況・計画

標準タイプの小型SAR衛星は2020年12月に民間会社により打ち上げ、現在運用中。新規技術開発を総務省SCOPE資金、宇宙研戦略経費等で研究開発している。希望する民間会社に技術提供を行い、単独のSAR衛星、複数衛星ミッション に順次展開していく。

ミッションや技術詳細

経緯: 2013-2018年に、JAXA宇宙研で宇宙研/科研費/内閣府競争的研究経費により100kg級小型衛星に搭載可能なX帯合成開口レーダを開発。衛星バスとの協調運用によりStripmap Mode, Sliding Spotlight Mode SAR 観測。地上分解能3m(1m), 観測幅25km(10km)。センサ搭載機器合計約2億円。開発したセンサ搭載機器はJAXA-民間会社の共創契約で譲渡され、2021年2月軌道上実証済。技術情報は希望する民間会社と契約にて開示可能。
現状技術開発:小型SAR衛星の今後の進化の研究開発を、宇宙研、早稲田、東工大などで総務省、JAXA等の競争資金にて実施中。上記実績を進化させて、CFRP製の形状安定で量産性の良いSARアンテナ、送信機の大出力化(3-4kW)、データ伝送(2.6Gbps)の高速リアルタイム復調などを開発中。地上分解能0.25m, フォーメーションフライトによるMultistatic SAR観測,1パスでのDEM取得などを目標とする。

参考文献など

展開構造物への高周波給電方式:特許、日本 :6501361、米:10290913韓国:10-2136445、欧州(独、英):3012903、特許出願済、日本:アンテナ装置、特願2019-050433、米、US20200303811A1 欧州:XXXXXXXXX]
[1] B. Pyne, H. Saito, et al, "Development and Performance Evaluation of Small SAR System for 100-kg Class Satellite," IEEE Journal of Selected Topics in Applied Earth Observations and Remote Sensing, Vol. 13, pp. 3879-3891, 2020.
[2] Tomoki KANEKO, Hirobumi SAITO,, et al.”2.65 Gbps downlink communications with polarization multiplexing in X-band for small earth observation satellite”,IEICE TRANS. COMMUN.,Vol.E104-B,No.1,pp.-,Jan. 2021.

動画

講演資料


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