ソーラー電力セイル技術のスピンオフとして、太陽電池膜(世界最軽量級展開型太陽電池パドル)の研究開発・事業化検討を進めている。100kg級以下の小型衛星を対象に幅広く利用されることを企図する。その軌道上実証として、発電・アンテナ機能を有する軽量膜展開構造物HELIOSを革新的衛星技術実証3号機に搭載し、2022年度の打上げを予定する。HELIOSにより、既存の150W/kg級最軽量展開型太陽電池パドル(ROSA, UltraFlex)を超える200W/kg(膜支持構造・ロンチロック含)を可能にする要素技術を実証する。本技術により、例えば小型SAR衛星1機あたりの観測の長時間化などが可能となる。
概要
本技術で何が実現できるか
小型衛星での大電力発電が実現できる。ソーラーセイル/ドラッグセイルと併用可能。
例:
・小型SAR衛星の観測の長時間化
・イオンエンジンの駆動
・超低軌道からの高分解能地球観測
・コンステ衛星の軌道制御の長寿命化
また、追加の太陽電池膜により発電量を少し増すような使い方も可能。
実現のキーとなる要素技術
膜構造、薄膜太陽電池、展開機構、ブーム、複合材料、ローンチロック、薄膜太陽電池の貼付・配線、FPC、地上での展開試験の重力補償、膜の形状評価
機器のスペック
■HELIOS膜構造部
・収納:15x15x17 cm
・展開:100x100x23 cm(膜1m^2)
・最大発電量:13W@BOL*1
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■膜辺1m(HELIOSと同サイズ)に太陽電池を全面搭載した場合
・最大発電量:264W@BOL
・出力質量比:169W/kg*1
*1:膜支持構造・ロンチロック含.
※膜辺1.3m(1.7m^2)以上ならば、200W/kgを超える見込み。
機器のイメージ図
開発状況・計画
革新的衛星技術実証3号機搭載の実証テーマ機器HELIOSを2022年度に打ち上げて実証する計画である。フライト品は開発完了し、衛星システムに引渡し済み。その他の実証実験や利用いただく機会を模索中である。また、さらなる軽量化の研究、多様な要求に対応するべく様々な膜展開方式・応用の研究開発も実施している。