超小型衛星コンステレーションにおいて、高頻度地球観測・大容量高速通信を行うため大型アンテナが求められる。そこで1Uサイズの収納状態から軌道上で1m×1mに展開可能な膜面リフレクトアレーアンテナを開発している。2019年3UキューブサットOrigamiSat-1 (FO-98)でフレキシブル基板を貼付した膜構造を実装した。次にC帯~X帯に適用可能なアンテナとして、非平面さを膜面上の位相調整で補償する技術を開発中であり、次なる宇宙実証を目指している。
概要
本技術で何が実現できるか
通常アレーアンテナは高い平面度を目指し剛な構造が用いられ軽量化・高収納率化には限界があった。本研究では電気的位相調整により非平面さを補償する新たなリフレクトアレーを提案し、展開膜上に実装する。構造の大幅な軽量化・高収納率化が見込める。
実現のキーとなる要素技術
1) バラクタダイオードによる非平面膜上での反射波の位相調整
2) 展開膜上へのリフレクトアレーの貼り付け・配線
3) 軌道上でのアンテナ変形形状の同定と補償アルゴリズム
4) 宇宙システムとしての成立性(耐環境性、信頼性)
機器のスペック
現在3Uキューブサットで宇宙実証を目指し概ね下記スペックのアンテナを開発している。
・1m×1m正方形のC帯~X帯リフレクトアレーアンテナを、展開機構も含め1U(10cm×10cm×10cm)内に収納
・機構含め1kg以下
・5mmの間隔がある2層膜構造
機器のイメージ図
開発状況・計画
・2019年打上げの3UキューブサットOrigamiSat-1で膜上に基板を実装した1m×1m多機能展開膜を開発済。
・1) 剛な基板上では位相調整による非平面度補償を達成。
・2) 現在は膜上に貼付可能なフレキシブル基板上で、位相調整できるリフレクトアレーアンテナを開発中(2022年度中)。
・3) OrigamiSat-1に膜形状計測ステレオカメラをすでに搭載済。補償に適切な制御チャンネル数を見出していく(2022年度中)。
・4) 3UキューブサットOrigamiSat-2(仮名)にて宇宙実証を行う(2023年度中完成を目指す)。