近年、超小型衛星で実現できるミッションの幅が広がっている。光通信や宇宙望遠鏡を超小型衛星で実現するためには、姿勢制御の高精度化が求められる。そこで、東京大学とセーレンは、JAXAと共同で、地球周回および深宇宙探査ミッション向けのCubeSatサイズの統合型姿勢・軌道制御ユニット(AOCSユニット)を開発した。特に姿勢制御アルゴリズムの開発には東京大学のOSS(Open Source Software)を活用し、ユーザーにとって透明性の高いソフトウェアとなっている点が特徴的である。本発表では開発したAOCSユニットの詳細とその試験結果について述べる。
概要
本技術で何が実現できるか
6U CubeSatで姿勢安定度10秒角を実現し、光通信や天体観測などが実現可能となる。更に、CubeSatを利用した編隊飛行、ランデブドッキングなどにとっても必須のバス技術であり、その安定供給が可能となる。深宇宙探査ミッションにおいても,探査機の超小型化に貢献可能である。
実現のキーとなる要素技術
ハードウェアとしては、コンポーネントの小型化・集積化が重要技術となる。ソフトウェアとしては、Open Source化、試験の自動化などが重要となる。
機器のスペック
Size 91×90×90 mm
Mass 1.2 kg
Stability(1σ) 0.003 deg (10 arcsec)
Max MTQ output: 0.37 Am2
Max RW torque: 4 mNm
Max RW momentum; 5 mNms
機器のイメージ図
開発状況・計画
現在までにEMの開発・宇宙環境耐性試験が完了しており、FMの開発にも着手している。FMは今年度中に開発が完了し、2022年中に打ち上げられ軌道上実証が行われる予定である。
詳細はS. Ikari, and et al., “Development of Compact and Highly Capable Integrated AOCS Module for CubeSats”, 33rd ISTS, 2022. にて発表する。