共同研究の背景及び概要
宇宙飛行士が宇宙ステーション内で日常着用する船内被服からは、繊維の毛羽からダストが発生し船内に浮遊する。浮遊ゴミは空気循環システムのフィルタに詰まり、ファンの送風音を大きくするため、これを減少させ騒音を低減することは、滞在する宇宙飛行士にとって精神衛生上重要である。
本研究では、繊維の毛羽を船内被服から効率的に除去する方法として、毛焼き装置及びシャリング装置を開発する。船内活動時に船内被服より発生する浮遊ゴミの減少により、浮遊ゴミに起因する各種機器の障害、騒音並びに健康被害の低減が期待でき、ひいては空気循環システムに詰まったダスト清掃のためのクルータイムの節約が期待できる。
従来の毛焼き等の技術は面状の織物を加工対象としており、多様な縫製被服の毛焼き等には転用不可能な技術である。本研究では、縫製された立体形状の被服に毛羽除去加工を行う。多様な縫製被服の毛羽除去を可能とすることにより、船内「被服環境」の個性を生かした快適性向上を図るとともにダスト低減化を可能とする。