回転電機の工場が信頼とスキルを伝える場

シンフォニアテクノロジーはモーター・発電機などの回転電機の技術を中核として、航空宇宙、駅の自動券売機、搬送システム、クラッチ・ブレーキ、高速プリンター、風力発電システムなどさまざまな産業機器に展開している。

同社の前身は、1917年に三重県の鳥羽造船所内に作られた電機工場。その後、鳥羽造船所が鈴木商店傘下に入ったことにより、神戸製鋼所の鳥羽工場となり、1949年に神戸製鋼所から独立して神鋼電機が設立され、2009年に現社名になった。

同社の社名には、同社の扱うさまざまな製品・技術が協調し、ひとつの音楽として鳴り響くという理想が込められている。

同社の売上高約700億円のうち、航空宇宙部門は約100億円。全社売り上げの1/7を占め、同社の事業の大きな柱に成長した。宇宙用ではロケットの姿勢制御用サーボアクチュエーターや宇宙ステーション補給機「こうのとり」2号機の空気循環ファンなどを製造している。

航空宇宙用機器を手がけているのは同社の伊勢工場(三重県伊勢市)。製品に高い信頼性が求められる分野だけに、伊勢工場では技能者のスキルを重視しており、会社の中でも品質・信頼性と人のスキル重視の文化を伝える場となっている。また、技術のセキュリティーが求められる部門でもある。そのため、航空宇宙部門の従業員は現在、全員がプロパー社員である。

シンフォニアテクノロジー伊勢製作所。同社の航空宇宙用機器はすべてここで作られる。小型風力発電システムや産業車両、自動券売機、電磁クラッチ・ブレーキ、プリンターなども手がけている。

国際宇宙ステーションに物資を運ぶ宇宙ステーション補給機「こうのとり」用の空気循環用ファン。こうのとりの補給キャリア与圧部で使われる

ファンは宇宙飛行士が内部で作業するステーション内で使用されるため、静音性が求められる。そのためファンの動翼形状は実験を繰り返し、最適な翼形状を決定している。

ファンは宇宙飛行士が内部で作業するステーション内で使用されるため、静音性が求められる。そのためファンの動翼形状は実験を繰り返し、最適な翼形状を決定している。

円筒の外側についているものがファンの静翼。静翼も動翼と同様に実験により最適な翼形状を決定している。

回路のハンダ付け。宇宙機器用は高いスキルを持った技術者が手作業で行う。信頼性を確保するため、作業ごとの目視検査は欠かせない。

社内で技能を評価し、高いスキルがあると認められた人だけが作業できる。技術者の対面にある白いものは吸引装置。ハンダ付け時のガスやダストを吸引する。

工場内のホワイトボードに表彰内容が掲示されていた。5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)のうち、2Sにおいて名人位を獲得。

シンフォニアテクノロジー株式会社

INTERVIEW

インタビュー

設計だけではダメ。
ものをつくる技術、生産技術も大切です

シンフォニアテクノロジー株式会社
取締役電子精機本部副本部長 木本伸一氏

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