光産業創成大学院大学の研究設備も活用

TAKシステム イニシアティブは、光計測装置の試作開発や光の受託計測を行う、光技術のベンチャー企業だ。設立は2007年10月で、社員はまだ3人しかいないが、可視光や紫外線分光器、走査レーザー顕微鏡、光子画像計測装置、ひずみ画像計測装置、光散乱・透過場計測装置、積分回路、レーザー装置など、幅広い光関連製品を手掛けている。福島での原子力発電所の事故を受け、車載GPSと連動できる放射線計測器も開発した。

同社の瀧口義浩代表取締役は、光産業創成大学院大学教授でもある。同大学院大学は新しい光産業を目差して起業する人を学生として受け入れ支援することを目的としている。静岡県浜松市内にある同社の小豆餅開発センターに加え、同大学院大学の研究設備も活用できることが、研究開発型企業である同社の強みとなっている。

宇宙関連分野では、2008年からISS(国際宇宙ステーション)を活用して、人工オパールの開発に取り組んでいる。完成すれば、光通信機器やレーザー素子用の光学素子として、幅広い応用が期待されている。

現在は小型衛星に搭載できる望遠鏡の開発にも挑戦中だ。直径20cmの凹面鏡で拡大像を得て動画像をカメラで撮影、地上にリアルタイムで送信することを狙っている。

小豆餅開発センター内の簡易暗室。簡単な試作機ならここで開発することが可能だ。

暗室の横には、旋盤、フライス盤、オビノコ盤を備え、実験に必要な装置を手作りできる環境を整えている。

瀧口代表取締役は東日本大震災により福島第一原子力発電所で事故が発生したことを知ると、すぐにリアルタイムで計測できる安価な放射線計を開発し、福島で放射線量の測定を行った。写真はそのとき現地に持参した放射線計。

浜松ホトニクスの研究者でもある瀧口代表取締役は、ISS(国際宇宙ステーション)で人造オパールの開発にも取り組んでいる。家庭用の光通信機器やレーザーに使用する光素子として応用が期待できるという。

TAKシステムは多くの分光計測装置を手掛けている。測定する光の波長や目的により、その形状は様々だ。

積分球。球内に設置した光源の光や球外から入射した光を多重反射させ、その光束を測定するする装置だ。

同じ浜松市内にある光産業創成大学院大学の実験室がTAKシステムの基礎研究所だ。この実験室ではYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)レーザーを金属に照射して、発生するプラズマを分光計測して素材の解析を行っている。

望遠鏡のミラーなどの測定に使うレーザー干渉計。1nmの精度で測定可能だ。右側にあるのは直径30cmの真空チャンバー。擬似的な宇宙空間を作り、宇宙空間におけるミラーの耐環境性をレーザー干渉計で検査できるように工夫されている。

株式会社TAKシステム イニシアティブ

INTERVIEW

インタビュー

浜松地域の企業の力を結集し
小型の宇宙望遠鏡開発に挑戦しています

株式会社TAKシステム イニシアティブ
代表取締役 瀧口義浩氏

RELATED

関連記事